大沢楽隊「疾風怒濤!!!」 例えば, 篠田昌已 「東京チンドンVOL.1」のような 統制されたプロフェッショナルな「チンドン」ではなく,かといって 「ソウルフラワーモノノケサミット 」のような,同時代的なものでもなく, 大衆音楽としての「ジンタ」をそのまま演奏しているから得られた音。 統制されていないうねるリズムに合わせて(!),一斉に奏される クラリネット,トランペット,トロンボーンのカオス感! このインパクトはなんなんでしょうか...。 ”ドドレミ”等,大正以後の時代を経てきたレパートリーに至っては, 元の楽曲名さえ判らず,当然譜面なんか有りません。 にも関わらず,切っ掛けの音が出た後は「なにものかの曲」に成っている訳です。 郷愁を誘われる方もいらっしゃる「音」なんでしょうけど, 僕にとっては「新しい刺激的な音」でした。 但し,この音楽は民族音楽でも,伝統芸能でも有りません。 身近な,どこにでもありふれた生活に根ざした音だった筈です。 それを「研究者がフィールドワークで収集した音」を聴くような感覚で 聴いている,自分の足許の覚束無さを再認識させられた事のみならず, 能動的に聴く事で,なんか視野が拡がったような気がしてきましたから, 不思議な魅力を持った音なんでしょうね。