二月晦日


かたちあるひとがかたちのないひとと出逢った。

かたちあるひとは、
かたちある事がどんなに価値をもっているか熱弁を振るった。
かたちのない人は、
かたちのない事でどんなに自由を得ているか熱弁を振るった。

互いの話を聞く事なくふたりはわかれた。

かたちあるひとは森に迷い込んでしまった。
樹々の語らいに割り込んで一晩中語り合った。
かたちのないひとは海に漕ぎいでた。
空に漕ぎ寄せる事ができる船を求めて。

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