道案内の準備



提灯鮟鱇を
箱提灯に使おうと思ったのだが、
これが容れ物を拒むものだから、
仕方無く紐打ち手に結わえ吊紐とし、
その先端に鉤を仕掛けてぶら下げた。

みるみる内に姿形が無くなり、
蒼白い焔の塊へと変化した。

幽玄なる趣きかな。


なけなしの一張羅は原型を留めず、
混濁した粉塵汚濁にまみれ、
菌糸胞子に寄生依代、
循環無限な生態系を形成し。

元々頭に被るものであったそれは、
果ての頂点の樹木限界を発現し。

ああ、愛おしき汚濁の世界。

着物に宿った小宇宙との共生は、つまり、
余計な洗濯をしないと云う事で、それはつまり、
粉塵と汚濁にまみれる事を選択したと云う事だ。


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