雨が止んだ
とりあえずこの事態は、単純に”面倒くさい”とか
”時間が無い”とか”忙しい”などと云う単純な事柄では無くて、
この時節柄、例の神経症的な症状に蝕まれていた事に
起因する状況に因るものである事は明々白々。
いつの間にやら如何ともし難い強い引力磁場が
我が生活圏を内包するよう密やかに形成されていたのであります。
然し乍ら、早朝4時に勝手に鳴り響いた目覚まし時計の律動に紛れ
私から離れようとゆらいだ淡い影の跫音を認知した瞬間、この、
出口の見当たらない閉塞状況は揺らぎ始めたのであります。
その時の私は枕から外した枕カヴァで目と鼻を覆い、
蒸す初夏の息吹と暗闇から浮かび上がる幾多の面妖なるものとの邂逅を
果たしており、そしてその心地よさから睡魔を呼び起こす事に成功し、
しくしくとした歓喜の果て、眠りの渕よりの誘いに心が傾いでおりました。
この曖昧模糊とした惚けた状態が
影の存在を認知する感覚を呼び覚ましたのかもしれません。
ともかくも影の存在を私が認知した事で、
規定されざる影なるものは私の中に穴を穿って
何処へか、あるいは次の依代を求めてか、いずれにせよ、
存在そのものが消え失せてしまったようであります。
さて、目覚まし時計は丁度6時に鳴り響き、
私は枕カヴァ本来の用途を思い出す事ができたようでありました。
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