All You Need Is Love !


好きですよ、この映画。
ベタな60年代の学園恋愛戦争ものミュージカルなのになんか変。

この監督は、それこそ「グリース」みたいなものを
今更作る意義は感じてないでしょうし、興味もないでしょう。

この作品は大時代的なミュージカル・シーンによる
”物語り”のリズムの停滞を徹底的に回避する方向で
演出されているようで、それが中盤以降生きている。
歌いだす、というよりは主人公たちの起点となる出来事、
感情の変化などの吐露が”聴衆の皆様、私の気持ちを聴いて!”
ではなく”私は歌いたいんだけど、傍で聴いてくれる?”位の
加減で押さえられているような感じも心地いい。

ただ、変幻自在に曲が変ってゆくコラージュ感や、
いくつかのシークエンスに表れる”アート作品”的な映像等
(カイル・クーパーの映像感覚がそのまま本編へ続いているような)、
結構アクの強い作品ではあり、昔のミュージカル、
ひいては”MTV的なもの”とも微妙に違うので、
結構人を選ぶ作品。駄目な人は駄目でしょう。

私の場合は、ビートルズの既存楽曲をここまで物語の流れに
がっちりはめ込む(逆かな)その抜群の選曲センスや、
ジミ・ヘンやらジャニス、ルーフトップ・コンサート
(この映画では未来への希望に繋がる)等の有名なエピソードと
シンクロさせたような展開など、”ぐっと”くる場面が何カ所も有り、
映画館で観れて良かったなあと。と云うかまた観たいと思えた訳で。

つまるところ、うん、良い作品だ、と云う事です。

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